6月の株主総会シーズンに「物言う株主」(アクティビスト)が注目を集めた。アクティビストの株主提案を支持する機関投資家や個人株主もおり、かつてのイメージは変わりつつある。国内のアクティビストとして存在感を増しているストラテジックキャピタル(SC)代表の丸木強さん(64)に聞いた。アクティビストとは何者で、何をしたいのですか?
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「すべての株主に儲(もう)かってほしい。そのために経営陣に率直に意見を言い、改善を促します。嫌われることは厭(いと)いません」。丸木さんはそう話す。
2012年の会社設立後、これまで20社ほどに投資して資金を回収してきた。6月の株主総会シーズンには8社に株主提案した。
注目されたのは「ニューヨーカー」や「ブルックスブラザーズ」を展開するアパレル大手ダイドーリミテッド経営陣との攻防だ。
22年からダイドー株を買い集め、議決権の約32%を保有する大株主に。11年連続で営業赤字に陥っているダイドーの経営陣刷新を求めた。株主総会では、SCが提案した取締役6人のうち、3人が選任された(うち1人は7月に辞任)。
SCはこれまで、数%の株式を握って株主提案すること自体を目的にすることが多かった。個人株主への啓発や経営陣の自覚を促すためだ。ダイドーのケースは、SCとしては異例だった。
三菱UFJ信託銀行のまとめでは、6月の株主総会で株主提案を受けた上場企業は91社(336議案)で、3年続けて過去最多を更新した。丸木さんは、アクティビストへの風向きの変化を感じている。「以前は株主総会で発言するのはすごくアウェーでした。いまでも歓迎されてはいませんが、普通の空気感にはなってきました」
見失っていた「評判」
丸木さんは、いわゆる「村上ファンド」の創業メンバーだ。
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